- 2026年6月12日
♯4 最近聞き返しが多くて補聴器を考えています。まずどうすればよいでしょうか?(60歳代男性)
聴こえづらい原因として加齢によるものが多いですが、“耳あか”や“中耳炎”のこともあります。
そのため、まずは耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
耳鼻咽喉科で耳あかを取り除いたり、中耳炎の治療(お薬や手術)を行うことで難聴が改善することがあります。
耳あかや中耳炎がなく、左右差のあまりない両側の難聴(特に高い音)の場合には加齢によるものが考えられます。
耳鼻咽喉科では聴力検査やティンパノメトリー(鼓膜の動きの検査)を行い、聴力の程度を確認し、両側平均聴力が40dB以上の場合には補聴器の装用が望まれます。
両側40dBぐらいですと、日常生活はそれほど支障がないかもしれません。ただ以前より聞き返しが多くなったり、テレビの音が大きくなったりと、気づかないうちに日常生活の質が下がっていることがあります。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では難聴啓発プロジェクトとして
『聴こえ8030運動』
を行っています。
具体的な内容は、
①80歳で30dBの聴力(または補聴器をした状態で30dBの聴力)を保つ国民啓発運動です。
*30dBはささやき声が聞こえるくらいです。
②歳を重ねて聞こえが悪くなるのは『加齢性難聴』という変化です。放置せずに耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。
学会のホームページに詳しく載っていますので、ぜひご覧になってみてください。
最近は難聴と認知症の関係について、さまざまな研究が進められています。
そして認知機能低下のうち予防可能な危険因子は9つあり、その筆頭に難聴が挙げられています。
難聴
幼少期の教育
喫煙
うつ
運動不足
高血圧
社会的孤立
肥満
糖尿病
また難聴がもたらす社会的孤立により、認知機能低下のリスクが上がることが考えられています。
難聴 → (社会的孤立) → 認知症
ご本人は、『聞こえているから補聴器は必要ない』と思っていても、
・言葉がよく聞き取れず会話についていけない
・空返事してしまう
・自分の名前を呼ばれても気づかない
・車が近づいているのに気づかず、びっくりした
・テレビの音量が大きいと家族にいわれる
など、日常生活のさまざまな場面で困ることがあるかもしれません。
加齢による難聴は誰にでも起こりうるものです。
生活の中で困っていることがあれば、補聴器により生活が今より少しでも幸せで楽しいものになることが期待できます。
補聴器は購入してからがさらに重要です。
最初は今まで聞こえていなかった音が聞こえるのでうるさいと感じるかもしれませんが、3か月ほど継続すると脳が変化していき、聞き取りが改善していきます。
最近は中等度難聴(40-70dBの難聴)の方にも公的な補助があります。
まずは耳鼻咽喉科での診察を受けていただき、耳あかのチェック、中耳炎の有無、聴力検査による難聴の程度を評価し、補聴器が必要かどうか検討されることをお勧めします。
山口宗太